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ふく百話(67)

「トラフグの研究」

西日本ふく研究会20周年記念誌に山口県水産研究センター研究員、天野千絵さんの特別寄稿があります。天野千絵さんほど南風泊市場に通い、研究を継続された専門家はおられないと思います。山口県へ就職されたのが平成4年(1992)、長門市仙崎の山口県外海水産試験場に配属されたのが天野さんと「ふく」との出会いです。「トラフグ放流技術開発」担当でした。毎月南風泊市場にトラフグの測定のため長門市から深夜、こられました。豊田湖周辺の山道でイノシシやサル、シカに会いながら、あるいは睡眠不足のまま運転し、田んぼに落ちそうになったりもしました。18年間、毎月南風泊市場に通いました。

平成22年、山口市秋穂の県水産研究センター内海研究班に異動となりました。今度は「瀬戸内海西部海域トラフグの放流効果研究」担当となり毎月3回、南風泊市場に通って全長を測り、焼印標識魚と左右胸ヒレカット魚を探しました。今年で20年(2012)のふく研究生活となりました。試験研究機関に長く勤務していても業務内容は途中でかわる人が多いのに、このように長くトラフグと南風泊市場に関わり続けていることは不思議なご縁だと思っています。

下関唐戸魚市場(株)の取扱高を見ても1990年代以前には内・外海産合わせて1千トンから2千トンもあったのが2000年代に入り100トン前後と低迷したままです。一生懸命やってきたつもりだが、根本的な問題は解決されていない。確かに事業としてみれば単価の高いトラフグの種苗放流は様々な試算で一定の経済効果が得られ、費用対効果も長期間の累積で1以上になることがわかった。しかし、いつの時代でも「フグの王様、最高級魚」であるトラフグへの漁獲圧は高すぎる。どの海域、どの漁法においても最大の収入源になってしまう魚種だからである。昔から様々な資源回復措置が唱えられてきたが、結局「漁獲圧は変えないまま放流で何とかしよう」という方針で進んでいる。種苗放流という補助輪があるうちに、なんとか資源回復させたいが現実はむつかしく、ジレンマを抱えながら調査に携わっている。

2012年3月、南風泊市場の鈴木智雄さんから「久しぶりに黄色いスパゲッツティタグ標識のトラフグが漁獲された」と連絡がありました。4、3キロのオスでした。漁獲地は福岡県・大島沖。記号・番号を確認したら、このトラフグは2001年9月に山口市秋穂沖から体長12センチで放流された980匹のうちの1匹でした。まもなく11歳の誕生日です。過去30年間に得られた再捕報告の中でも最高年齢です。天然トラフグの寿命は10年。全長80センチ、体重10キロに達する大型種です。年齢の割には少々小ぶりだが、この11年間、毎年関門海峡を通過して瀬戸内海と日本海を往復し、内海、外海の強大な漁獲圧をかわしながら生き延びて子孫を残してきたかと思うと、この子を「えらい、よう頑張ったね」と褒めてやりたい気がしました。長年の種苗放流結果から、トラフグの産卵回帰率はサケ・マスを上回る90%以上だということが最近明らかになっています。今後春先の産卵親魚の手厚い保護がなされるなら、少しは資源回復の希望が持てると思う。

私自身も研究のためと称して、この20年間に何万匹ものトラフグを解剖し命を奪ってきた。最近は3歳以上の産卵親魚を解剖するたび「もうちょっとでこの春も産卵できたものを」と申し訳ない気持ちでハサミを振るっている。

フグ類の情報には、常に新しい知見の追加と古い知識の継承が必要だと考える。最近は遺伝子解析などの新しい分野が発達し、昔はわからなかった事実が明らかになってきた。一方、関係者の世代交代とフグ類の減少、地球温暖化に伴う魚種の分布変化に伴い、昔なら当たり前だったフグ類の知識、特に有毒種、有毒部位や中間種の知識が若い世代に十分継承されていない事例も見受けられる。

どんなに時代が進んでもフグがフグ毒TTXを持っている事実は変らず、取り扱いを誤れば人命にかかわる魚種であることも変わらない。

天野千絵さんは今でも水産研究センターでお仕事を継続されています。

南風泊市場を基点に調査を継続された方は多いです。国、県、市の事業で研究ができます。山口県のさかな「ふく」の存在は大きいのです。