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ふく百話(56)

「ふくの歯切」

6月5日の山口新聞に「下松市笠戸島の市栽培漁業センターは養殖用トラフグの稚魚の歯を切る「歯切」作業を行った。」と記事が掲載されました。

この時期、全国のふぐ養殖業者の恒例作業です。ふくは臆病で獰猛な魚です。

互いに噛み合いしたり、特に尾びれを噛み合って体を傷つけるのです。またそれが原因で病気にかからないようにするのが目的です。

記事によれば長崎県から仕入れた生後3か月の稚魚3500匹の歯を乳児用爪切りはさみで切る。体長8〜10センチの稚魚の口を開け、上下2枚ずつ生えている歯のうち、上下どちらかを切るそうです。笠戸島では30年前からトラフグ養殖を続けており、「笠戸のとらふぐ」として観光資源になっているのです。稚魚のうち2000匹を7月に周南沖に放流、残り1500匹は1年半かけて2キロに育て、下松市内の宿泊施設や飲食店に提供されます。

なおこの歯切り作業は全ての養殖場で出荷まで数回以上は行います。

極端な手法では歯を全部抜いてしまったような養殖ふくを見たことがあります。

ふくは歯がなくて、金魚のような飼料を食べることとなります

今回の記事を見て下関市の取り組みを調べてみました。吉母にある市栽培センターに確認したところ市ではトラフグ稚魚の育成は行っておらず、山口県が内海栽培センターで人工ふ化した稚魚の放流を共同事業としている。市内各地で放流しているとのことです。

下関市単独ではアワビ、ウニ、クルマエビ、ガザミの育成、放流に取り組んでいます。トラフグ放流事業は資源管理に効果があることが実証されており、県事業として長年継続されているのです。

今回の歯切作業ですが延縄漁業で漁獲される天然物でも行われています。

養殖物にくらべ大型が多いので、歯切の道具はニッパ(ペンチ)です。

釣りあげたらまず下の歯を大きく切ります。次に上の歯の先端部分の尖ったところを切ります。上の歯は脳に近いのであまり傷をつけないのです。時々、ペンチで歯を折るという記事を見ますが、それではふくが痛そうです。正確には歯を切るです。ふくの歯はそれでも鋭く、南風泊市場での選別作業中、よく噛みつかれ痛い思いをしました。南風泊市場勤務時代、春、地元南風泊漁協の定置網で沢山の大型とらふぐが漁獲された時期がありました。漁師さんにお願いし、漁獲に立ち会いました。何十匹もの大きなトラフグが定置網に入っており、それを網ですくい、船のいけすに入れました。南風泊市場について、活魚水槽に入れる時に驚きました。ふく同士が鋭い歯で噛み合い、魚体に大きく傷がつき、ひどいのは魚体に穴が開き内臓が見えるものもありました。

地元の漁師さんには「歯切」の知識はなく、せっかくの上等品が三級品になってしまいました。

今回の歯切に加え、釣り上げた時にもうひとつ重要な作業があります。

「吹き」です。ふくをより良く活かすために「浮き袋の空気を抜く作業」です。釣りあげられたふくは、ギュユギュウと鳴きながら腹を膨らませます。この腹の空気を適度に抜かないと、ふくは生け簀の中でうまく泳げないのです。

「吹き」は金属製の吹き矢のような構造です。大きさは、さや箸くらいです。

それを口から入れて微妙に空気を抜くのです。この仕事は船の中でもベテラン船員の仕事です。空気を抜きすぎるとふくは底たまり、抜きが甘いと上層にたまり、魚体が擦れ合って魚が弱ります。吹き名人の仕事は大切なのです。

ふくが漁獲され市場に出荷されるまで、いろいろな作業があります。今回はその中でも一般の人は知らない、プロの世界のお話でした。